なれてないよねぇ、ボク。
結局「大人」ってなんだ?って、太古からの疑問には答えなんて出せない。
あの頃「大人」だと思っていたのは、自分よりだいぶ歳が行っている人たちのことで、そんな歳になってみたらなってみたで、なんかしっくりこない。
これは答えを間違えたらしい。
大学を卒業し就職へと向かう時、完全に趣味を仕事にしちゃったものだから、忙しくても辛さは感じなかった。
会社への不満も、社会への不満も何も無くて、ただ好きなものが目の前にある日常に満足していた。
それが今も続いているから、僕の人生に劇的なことは起こらなかったし、映画化もされない。
でも、果たしてそうだろうか。
森山未來さん演じる主人公だって、そんなに劇的かって言われたら、そうではない。
酒飲んで、煙草ふかして、愚痴言って…。
仕事が上手くいかず、友達と馬鹿をして、魅力的な女性と出会う。
こんなこと、誰にだって起こることだ。
僕にだって起こったことだ…酒も煙草もしないけど。
文通で出会い、ラブホで語り、インドへ買い付けに行く伊藤沙莉さんが強烈サブカル系女子に一瞬思ってしまうけれど、彼女だって特別じゃない。
誰だって、出会って好きになった人は強烈でしかない。
別れたとしても、頭から離れることなんてない。
たとえ今、ペアルックを平気で着るような人になってさえいても…。
「大人」は色々な経験の積み重ねでなれるドラクエの職業のひとつでしかない。
「いい大人」や「凄い大人」にレベルアップすることもあるだろうけど、最上位が「大人勇者」かどうかはわからない。
だって、「大人」という職業になったって、考えたり思い出したりすることは、「ぬののふく」を着ていた頃のことばかりだから。
結局、ボクも僕も大人になれなかったし、「なる」ものでもないことがわかった。
この作品が観てるこっちの胸に刺さるのは必然だ。
ボクは「僕」なんだから。
それでいい。
きっと、それでいい。
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