「報道なんて裏ごしされて流されてるもんだ」って、映画の題材として何回も観てるはずなのに、根がピュアなもので、何かの報道がある度に、それを鵜吞みにしてしまうおバカな私。
今回、由宇子が向かう先は女子高生のいじめ自殺問題。
演じる瀧内公美さんの表情は、正義感ど真ん中にも見えるけど、どこかフィルターがかかっているようにも見える。
真実をあぶり出したい上での攻めた取材も、何故か空虚に見えてしまうのは何故だろう。
被害者の親、被害者の先生の親族など、よくある報道の様に、視聴者が加害者への怒りを生みやすい側へのアプローチは、やがて破綻してセカンドレイプを生み出し兼ねない怖さをいつも感じる。
そんな世界を生きている由宇子の身に突如突き付けられる加害者側の視点。
そしてこの直後が最も重要で、由宇子はいともあっさりとその視点を受け入れる。
この点が、その他の綺麗ごと正義映画と大きく違うところ。
いつも芯から笑っていない由宇子の目からすると、やはりその選択が正しかったのか。
真実を見抜く目を持つべき、いや持っているはずの由宇子が、一つの意見で傾いてしまうのはどうしてか。
「真実はいつもひとつ」と小さい高校生探偵はいつも力強く言うけれど、真実なんて、どこにある?
ドキュメンタリー報道という特殊な仕事は、どんな天秤を持って行えばいいのだろうか。
この手の映画は、自分ならどうするか、ここをいつも突いてくる。
でも、当事者じゃないから、スカしている奴以外はきっと正義感ぶった意見を言うはず。
当事者じゃない以上、どうこう言っても他人だから。
由宇子の最後の選択をどう見るか…。
なんて、なんかわかった風に書いてみたけど、とにかく俳優陣に圧倒されちゃいますな。
瀧内さんは当然として、光石研さんの安心感、そして特に注目は「河合優実」さんと「梅田誠弘」さんの小畑父娘。
河合さんは『サマーフィルムにのって』のビート板役とは真反対の、全然サマー感の無い女子高生で、ある意味瀧内さんよりも主役だった。
梅田さんはお初だったけど、あのニヤニヤした導火線みたいな存在感は、ある意味河合さんよりも主役だった。
そして、『岬の兄妹』が兄妹じゃない役で出てた…やっぱ、俳優って凄ぇな。
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