「グラフィティ」って言えば聞こえはいいけど、自分とこのシャッターに描かれたら、それは「落書き」だよね。
その「落書き」を、アートとして見れば、キース・ヘリングやバスキアやバンクシーみたいにドキュメンタリー映画にもなっちゃうけど、女子高生の柚子ちゃんが描く「グラフィティ」くらいじゃ、30分くらいの映画にしかなんないね。
でも、その30分で描かれたこの映画は、どストレートに「夢」に突き進ませるパワーがあるね。
いやー、参った。
柚子ちゃんが、カラカラプシューと描いた初グラフィティに対し、店の主人は「ヘタクソ」と上書き。
そしてまた柚子ちゃんが描く、店主が上書き…この攻防戦が長ければ、ただのコメディで終わっていたけれど、30分しかないからパパッと切り上げて、後は柚子ちゃんの進路と店主の進路で繋いでいく。
そうこうしていて気づく。
あの攻防戦、交換日記の様な会話なんだと。そういえばセリフがあんまり無い…グラフィティがあるからだ。
街中でよく見かけるグラフィティたちも、描いた本人にとってはきっと会話だし意思なんだろうね。
それを器物損壊の社会問題案件として捉えるのは、正当なのかダサイのか。
芸術ってスレスレだな。
そういえば思い出した。
昔、うちの実家の壁にペンキで落書きされたことがあった。
犯人は近所の小学生で、親御さんが謝りに来てた。
なので許して、もう遅いし明日にでもペンキを落とそうって寝て朝になったら消えていた。
たぶん夜中に親御さんが消しに来たんだろうなぁ。
あの小学生、バンクシーっ名前じゃなくて良かった。
色んな映画祭でグランプリを獲るだけの力が本当にあるこの「落書き」映画。
たぶん、観た人は皆、消したくなくなる「グラフィティ」が自分の中のシャッターに描かれちゃうんだろうな。
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