「気が付いたら何かヤベーところにいる」映画って、何でこんなにいっぱいあるんだろう?
上みたらずーっと上まで四角い穴が伸びていて、下みたらずーっと下まで四角い穴が伸びている。
その上の穴から四角いテーブル(プラットフォーム)がゆっくり降りてきて、自分の階層で止まり、少ししたらまたゆっくり下へ降りていく…それだけ。
それだけのことが繰り返される。
それだけ…なのに、こんなにも人間の欲求第一位の「食欲」への狂気を描けるなんて。
自分がいるのが上位階層なら、四角いテーブルの上には有り余るほどの御馳走の山々。
食い放題。
でも、中間階層になると、上の人が食い散らかした食べカスしかない。
下位階層になると、食器しかない。
つまり、階層が下がるごとに食べ物が減っていき、何にも食べられない人が出てくる。
じゃあ、どうやって空腹を満たす?
こわーーい。
飢饉を描いた昔の絵なんてメチャメチャ怖いんだから。
でも、この映画では、ひと月に一回やってくる階層シャッフルで、食えるか食えないかは運次第。
壁に書かれた階層数字を見て一喜一憂。
欲に身を任せたり、裏切ったり、諦めたり…自分だったらどうするか…。
実は今、プチダイエット中なので、強制的に痩せられるねって少しでも考えた自分を穴に放り込みたい。
「食」って大事だなぁ。
でも、この空間では、金よりも宝石よりも価値があるのが食べ物のはずなのに、史上最も食べ物が美味しく見えない映画になっている。
それはそれはヤな感じのテーブルの上。
欲を描くためにあえてこうしたんだろうなぁ…美術さんを褒めよう。
さて、ラストに至る展開は凄まじいものがあるので、何も食べずに観て欲しい。
観終わったらデザートはパンナコッタで決まり。
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