『天外者 (てんがらもん)』

邦画

一人じゃなんにも出来ないから、今いる世界を変えることなんか出来るわけないじゃん。

だから、政治家の悪口を言ってる人が多いじゃん。

もっと近くで考えたら、自分も同僚も会社の悪口ばっかり言ってんじゃん。

何かを変えられる人なんて、どこかから現れたとしても、今の世の中なら見えない位置からのつぶし合いと周りの諦めで、気づいたら消されてるじゃん。

そう…思い込んでた。

反省したなー…これを観て。

2020年の冬に公開されて、その時には春馬くんはもういなくて、でも、春馬くんが演じた五代友厚はスクリーンの中にいて、真っすぐな眼と言葉で僕を一喝してくれた。

強い信念を持って、それを言葉と行動で表すことで、何かが変わる瞬間を見せてくれた。

坂本龍馬や岩崎弥太郎や伊藤博文らと出会ったことが、いい刺激になったかもしれないけれど、才助は一人でも何かを変える力を持っていたと思う。

「何があっても日本という国を今より良くしよう」という言葉は、今でもそこかしこで耳にするけれど、こっちは本気にしちゃいない。

でも、才助が見せた行動のひとつひとつ、少なくとも彼の信念には嘘が無かった。

嘘の無い信念は、親友も戦友も動かし、ひいては国をも動かす。

こんな信念の人を前にしたら、こっちも本気になるしかない。

だから、江戸も明治になったんだと思う。

いい歳して文句ばっか垂れてくすぶっている自分がなんと情けなく思えたことか。

春馬くんの目はきっと、友厚と同じ目をしている。

そうでないと、ここまでの説得力は生まれないんじゃないかな。

ただ演じているんじゃなくて、春馬くんの中の信念がこっちに出てきて見えるから、この作品は成り立っているんじゃないかな。

そして、今や「ワイルドスピード森川」の異名を持ち、数々の伝説を作っている森川葵さんは、世界を知りたい遊女役。

その習得能力があれば、春馬くんの意思も受け継いでいるかもと期待してしまう。

春馬くんと同じく目に強い意思があった。

素晴らしい。

また今回、肉体美の披露所が無かった西川”弥太郎”貴教さんも、豪快イケメン三浦”龍馬”翔平さんも、千円札のイメージゼロの森永”博文”悠希さんも、誰もが「天外者=凄まじい才能の持ち主」だった。

でも、やっぱり春馬くん。

生きていれば、俳優や演劇の世界をどう変えていってくれたのか、たらればを言っても仕方ないけれど…見たかったよ。

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